鉄拳を理解していくうえで「フレーム」の概念が必須になる。フレームとは、元々映像分野の用語で、動画をコマ送りした場合の1コマをあらわす言葉。
鉄拳は1秒間を60分割した時間単位で処理を行っており(60fps、秒間60フレーム)、技の発生や硬直にかかる時間は、すべてフレームの数値として表すことができる。
写真はロウがハイキック(/上)をヒットさせるまでを1コマずつ静止画にして並べたもの。
入力方法別に発生する基本的な技を解説する。ただ、あくまで「基本」であって、入力に対してキャラそれぞれで異なる性能が割り振られている。中にはまったく別性能の技になるものもあるので悪しからず。名称も、固有技名がある場合はそちらにならう。ただ、極端に性能や用途が異なるケースは稀で、基本ベースに対して性能の優劣を調整した形で各キャラの差別化がはかられている。
ジャブ、立ち状態からで発生。
発生10Fの上段攻撃、基本的に最も発生が早い攻撃になる。
入力で出したものはリーチが少し伸び、呼び名も「リードジャブ」に変わる。
ハイキック、立ち状態からで発生。
発生11F以上の上段攻撃。カウンターヒット(※)で相手がダウンする。ほとんどのキャラは、このダウンを空中で拾ってコンボにつなげることが可能。事実上、最も発生の早いコンボ始動技扱い。
※カウンターヒットとは、相手の攻撃発生モーション中に、こちらの攻撃を先に当てること。ハイキックカウンター>ダウン、のように多くの技はカウンターヒットさせることで特殊な追加効果が発生する。
シットジャブ、通称しゃがみパンチ、略称しゃがパン。立ち状態から、
、またはしゃがみ中
で発生。
発生10F。ジャブと同じく基本的に最も発生の早い攻撃になる。
しゃがみステータスを持っている。しゃがみステータスとは、上段判定の攻撃が当たらなくなる効果のこと。発生が早いのも合わさって、相手のラッシュに割り込む目的で使いやすい。
攻撃判定は特殊中段。特殊中段とは立ちガード、しゃがみガード両方で防がれる判定をもつ技のこと。ジャンプステータス(後述)に対して攻撃を当てることができず、また下段捌きで捌かれてしまう。
しゃがみパンチの隠れた性能に「立ち帰着」効果がある。通常、しゃがパン後はしゃがみ状態(しゃがみ帰着)なのだが、硬直中に入力しておくと、しゃがパン後を立ち状態にすることができる。上級者が活用するテクニックで、初心者のうちは覚えなくて良い。
ローキック、通称生ロー。立ち状態から、
、またはしゃがみ中
で発生。
発生12F以上、下段判定。基本的に最も発生の早い下段攻撃になる。しゃがパンと同じくしゃがみステータスも持っている。
立ち、しゃがみ両方の状態から生ローが出せるキャラクターは、立ち状態から出す生ローに比べてしゃがみから出す生ローの方がダメージが高く設定されている。
ロウは、
に固有技が設定されているため、生ローは
入力で出せるようになっている。
ステップインアッパー、通称左アッパー。立ち状態からで発生。
発生13F以上、中段判定。立ち状態から出せる、最も(または二番目に)発生の早い中段攻撃になる。
ガードされても隙が小さいため攻めを継続しやすい。最速二択の中段として活用される。
ショートアッパー、通称右アッパー。立ち状態からで発生。
発生15F以上、中段判定。基本的なコンボ始動技で、ヒットで相手が浮く。
ちなみにロウの右アッパーはしゃがみ状態の相手を浮かせることができない。
フロントキック、通称アホキック。立ち状態からで発生。
発生12F以上、中段判定。立ち状態から出せる最も発生の早い中段攻撃になることが多い。
左アッパーに比べて隙が大きいため接近戦ではなかなか使われないが、リーチの長さを活かして遠い間合いで活用される。
入力から出す技は基本的に中段判定の技が設定されていて、古くは「崩し技」(しゃがみ状態を崩す)と呼ばれていた。一方で、立ち回りの中でダメージの大きい下段や投げを(立ちガードを崩す)崩し技と呼ぶ慣習が定着したため、今では廃れつつある。
トゥースマッシュ、通称トゥースマ。立ち途中で発生。ちなみに立ち途中攻撃は、しゃがみ中(
、
、
入力を続けてしゃがみ状態になった状態)からレバーをニュートラルに戻し、キャラクタがしゃがみ状態から立ち状態に移行する途中に攻撃ボタンを押すことで発生する。
発生11F、中段攻撃。しゃがみから出せる最速の中段攻撃で、生ローとの二択や下段攻撃の反撃に使われる。
ライジングアッパー、立ち途中で発生。
発生15F以上の中段判定。キャラ固有の浮かせ技が割り振られる。しゃがみガードから大きな隙にきめるコンボ始動技になる。
ロウの場合、ドラゴンアッパーカットが発生。
アッパーカット、立ち途中で発生。
発生11F以上、トゥースマッシュと同じくしゃがみから出せる最速中段になるのだが、リーチが短くダメージが低いためあまり使用されない。
また、キャラ別の固有技が設定されることも多い。ロウの場合は発生13Fのフラッシュナックルになっている。
投げ。 or
で発生、しゃがみからも可能。
発生12Fの上段ガード不能扱い、しゃがみで回避することができる。また、ジャンプステータスでも回避可能。
掴まれてから15F以内に、対応したボタンを入力することで「投げ抜け」することが可能。写真のものは投げなので、やられ側が
を入力すると投げ抜けできる。
ロングレンジスロー、通称ロングレンジ。 or
で発生。
投げの内容は通常の左右投げと変わらないが、発生が15Fと遅くなるかわりに掴み手のリーチが伸びる。また、横移動に対して追尾性能がある。
ライジングトゥーキック、通称ライトゥー。立ち or しゃがみからで発生。
発生15F以上、中段判定で相手を浮かせることができる。
ジャンプステータスを持っている。ジャンプステータスとは下段、特殊中段、投げが当たらなくなる効果。基本的に発生9Fからこの効果が発揮される。
遅・ライジングトゥーキック、通称遅ライトゥー。立ち or しゃがみから☆
(小ジャンプ中に
)で発生。
発生23F以上、中段判定で相手を浮かせることができる。発生は遅いがコンボ始動技の中でもダメージが高く、相手の大きな隙に当てれば大ダメージを奪える。
スラッシュキック、 or 走り中
で発生。
ジャンプステータス付きの中段判定飛び蹴り。基本的にガードされても有利になる。
キャラによっては10F以上有利だが、ガード可能な硬直という特殊な状態になる。ガード可能な硬直は、立ちガード、しゃがみガード可能、上段攻撃はしゃがみで回避可能。
女性キャラのスラッシュキック系は、技後自分がダウンしてしまうものが多い。
三歩以上走ると様々な共通技が出せるようになる。ランチョップ、三歩以上走って、中段。
スライディングキック、三歩以上走って、下段。
三歩走って相手に接触するとアルティメットタックルという中段の投げが発生。相手を押し倒して馬乗りになる。
投げ抜けが二回可能。最初、やられ側は掴まれた瞬間にでタックルを切ることができる。二回目の方はお尻が地面に着く直前に
、マウントの上下を逆転させることができる。
マウントポジションを取った側は、 or
、続いて
or
で相手にマウントパンチを浴びせることができる。投げが得意なキャラは
で腕拉ぎ十時固め、マウントからの攻防が得意なキャラはマウント固有技が可能。
やられ側は相手のパンチに合わせて or
でマウントパンチが防げる。投げが得意なキャラは
でマウント右パンチを腕拉ぎ十字固めで返すことができる。ほか、
で腕拉ぎ十字固め返し、
で腕拉ぎ十字固め返し腕拉ぎ十字固めが可能。
四歩以上走って相手に接触すると無敵ショルダータックル(中段のガード不能攻撃)になる。
四歩以上走って相手がダウン中の場合は下段の踏みつけ攻撃に切り替わる。
攻防を通してフレームの有利・不利が発生する。
攻撃をヒットさせると、基本的にヒットさせた側が数フレーム早く動ける=フレーム有利になる。ヒットされた側はフレーム不利になる。
相手の攻撃をガードすると、ガードした側が数フレーム早く動ける=フレーム有利になる。ガードされた側はフレーム不利になる。
一部の技はガードさせて有利になる。スラッシュキック( or 走り中
/中)系はガードさせても不利にならず、相手がひるんでむしろ有利になる。
一部の技はヒットせても不利になる。生ロー系の技はヒットしても、攻撃を当てた側が不利~五分になるものが多い。
空振りしてしまうと無防備な空振り硬直の状態となり、大きなフレーム不利になる。
ダウンからの起き上がり、受身中は一定時間入力を受付けない状態。やはり大きなフレーム不利になる。
フレーム不利の状態で反撃すると、相手の出す発生の早い攻撃につぶされてしまう。逆にフレーム有利で発生の早い技を出せば、相手が暴れても行動をつぶすことができる。自分の状態がフレーム的に有利か不利か、自分が出す技の発生の早さも考えながら戦っていこう。
攻撃をガードすると基本的に相手はフレーム不利になる。このフレーム不利が10Fを超える場合、その無防備な硬直状態=ガード硬直に、こちらは確定反撃が可能になる。ちなみにガード硬直の値は、相手10F不利であれば-10F、のように表記するのが通例。
コンボ始動技は大抵ガード硬直が-10F以上ある。どれくらいあるかわからない場合は、とりあえず発生10Fのワンツーパンチ(/上上)で最低限の確定反撃を入れよう。
例、仁の中段コンボ始動技である左突き上げ(☆
/中)をガードで反撃。ガード硬直-12Fなので、発生10F・ワンツーパンチ(
/上上)の確定反撃が可能。ちなみにこの状況におけるラースの最大確反は発生12F・デスマスク(
/上上)。
鉄拳で対戦していくうちに、もっと大きな確定反撃が可能な隙の大きい技や、反撃のワンツーパンチがとどかない技に出会っていく。そういう技ひとつひとつに、自キャラで可能な、有効な確定反撃が何であるか、覚えていくことが鉄拳上級者への一歩となる。中にはコンボ始動技でガード硬直が-10F未満の技もあるし、逆にコンボ始動技が確定するような隙の大きな技もある。
下段キックの確定反撃にはトゥースマッシュ系(立ち途中)がほぼ確実。ただしローキックなどは発生が早すぎて、見てからガードはとてもできない。偶然ガードできたときに自然とトゥースマによる反撃が出せるように慣れる必要がある。
例。仁の右下段後ろ回し蹴り(/下)をガード。ガード硬直-13Fなので、発生11F・トゥースマッシュ(立ち途中
/中)で確定反撃。
下段のコンボ始動技やダウンを奪う技は、ガードされることで姿勢が崩れ、大きな隙がうまれる。相手の下段大技をガードできたら、立ち途中系やライトゥー、遅ライトゥーなどのしゃがみから発生可能なコンボ始動技で確定反撃を入れよう。
例。仁の下段コンボ始動技・踏み込み下段回し蹴り(☆
/下)をガード。ガード硬直-31Fなので、ラースはしゃがみからのコンボ始動技・ストリーマー(立ち途中
/中)で確定反撃。ちなみに最大確反は、たぶん遅ライトゥー(
☆
/中)始動のコンボ。
ガード硬直がわからない最初のうちは、攻撃のガード後にとりあえず投げや下段攻撃で反撃するのもあり。
仁の前蹴上げ(/中)をガードして投げ。
仁の胴抜き(/中)をガードして生ローで反撃。
ちなみにラースが行うべき反撃は、前蹴上げガード硬直-12Fに対して発生12F・デスマスク(/上上)が確定、胴抜きガード硬直-11Fに対して……は、確定反撃が何も届かないので二択が正解。
コンボなどで空中に浮かせられたあと何もせずに地面に落ちるとダウン状態になってしまうのだが、地面に落ちる直前に特定の操作を行うことで受身が可能になる。受身をとれば、ダウンするよりも早く相手の次の攻撃に対して身構えることができる。
着地前に入力すると後転受身になる。素早く後方に下がって起き上がるのだが、一定時間ガード不能状態にってしまう。ガード不能状態が欠点だが、間合いを離せるのが利点。受身直後はしゃがみ状態になる。
入力でクイック受身、ヘッドスプリングをしながら起き上がる。ヘッドスプリングの足部分に攻撃判定あり。ただし受身の中では一番硬直が長くリスクが高い。一部の例外をのぞいて、これをするぐらいならダウン選択からその場立ちした方がマシ。ちなみに例外は、起き攻めで出されたスラッシュキックの迎撃用途。
横転受身。 or
で画面奥、
or
で画面手前方向に受身する。無敵時間⇒ガード可能な硬直⇒しゃがみ状態の順に移行。横転受身は基本的に受身の中で最もリスクが少ない(例外はガード不能を重ねられたとき)ので、普段はこれを使うように心がけよう。
投げなどで受身の取れないダウンになった状況、または前述の受身可能な状況で受身をとらなかった場合で発生。まず基本、立ち上がろう。☆でその場立ち(起き上がってすぐ立ちガード可能)、
でしゃがみ起き(起き上がってすぐしゃがみガード可能)になる。起き上がり動作中は無防備になる瞬間があるため、そこに攻撃を重ねられないようにタイミングをはかろう。
起き攻めしてくる相手に、中 or 下の逆択を仕掛けることができる。
ダウン中で起き上がり中段キック。
ダウン中で起き上がり下段キックによる迎撃が可能。
or
で出せる牽制キック(下段)は発生が早い……かわりにダメージが低く、ガード硬直が大きい。
ダウン中でスプリングキック(中段)が可能。スプリングキックは写真のものの他、二種類ある。キングやアーマーキング、ロジャーJr.のスプリングキックは攻撃後背向けになってしまう。ポールやマードック、スティーブや吉光は、スプリングキックではなくスプリングクロスチョップが発生する。
ダウン中で前転、ダウン中
で後転が可能。前転・後転中は大きく無防備になるので注意が必要。奇襲として前転・後転中
でクロスチョップ(中段)を出すことができる。また、転がり中に
、
入力することで、通常の起き上がり時と同様に起き上がり攻撃も可能。
ダウン中で画面奥、
で画面手前方向に横転しながら起き上がることができる。上手く軸をずらすことができれば相手の起き攻めをかわせるのだが、かわす方向を読まないと上手くいかないため使いこなしが難しい。横転後、何もしなければその場立ちになるが、そこから通常の起き上がりと同様に前転、後転、起き上がり攻撃なども可能。
横転中を入力すると、横転動作からさらに寝返りをうって、仰向け~横転ならうつ伏せ、うつ伏せ~横転なら仰向けになることができる。横転後も
入力を続けると、すぐには起き上がらずダウン状態を維持できる。ちなみに横転は、ダウン中に一度横転してしまうと、一度相手から攻撃を喰らわないかぎり再び横転はできない。
コンボの最後が叩きつける効果をもつ技の場合、受身をとることができない。受身のつもりで操作ミスしないように注意。攻撃側の狙いは、起き上がりの無防備な瞬間を利用した起き攻め。
頭向けうつ伏せは、起き上がるまでの無防備な時間(空中判定)が長く、ここに攻撃を重ねられると浮いてしまう。後転も同様。相手から寝っぱなし or 起き上がりで対処する二択を強いられる。頭向けうつ伏せを起こす技はたくさんあるので、この状態にさせられたら起き上がりに注意しよう。
投げや足払いでダウンしたあとの頭向け仰向け、足向けうつ伏せは、起き上がりに背を向けたまま立ち上がっている瞬間が存在する。タイミングを合わせられると無防備な背面に攻撃をくらうので気をつけよう。
すぐの起き上がりが危険な場合は、ダウン状態を維持して起き上がるタイミングをうかがおう。読み負けてダウン中に攻撃をくらった場合、ダウン受身をとればそれ以上の追撃を防ぐことができる。ダウン受身の選択肢は前述の「受身」の項目の内容と同じだが、ダウンの姿勢によっては後転受身やクイック受身ができない。なるべく横転受身をとろう。
壁の近くでダウンする攻撃をヒットさせると、相手は壁に叩きつけられて「壁やられ強」状態になる。壁やられ強の相手には、地面に崩れ落ちるまでを拾いなおしてコンボをきめることができる。
空中ヒットで壁に衝突すると「壁やられ中」になる。通常の空中コンボで壁に運んだり、壁コンボで相手を壁に叩きつけたりで発生する「壁やられ中」の回数が3回以上になると、やられ側の硬直が短くなりコンボがきまりにくくなるので注意。
壁やられ強、壁やられ中からダウンする直前に攻撃を当てると、コンボ補正の掛け率が70%になるタイミングが存在する。このタイミング、通称・補正切れに合わせて強力な攻撃で壁コンボを〆ればダメージアップにつながる。
……といった知識を前提に、壁コンボを覚えておこう。
壁やられからは横転受身が可能。受身をとって起き攻めに備えよう。 or
で画面奥側、
or
で画面手前側に横転受身することができる。壁やられ受身と横転受身は性能が同じで、無敵⇒ガード可能な硬直⇒しゃがみ、の順番で状態が変化する。初心者は気にする必要がないが、壁やられ受身は少しだけ入力受付の時間が多くとってあり、受身のタイミングをずらすことも可能。
受身をとらない場合はダウンする。ダウン選択することで起き攻め二択をやりすごすことができるが、基本的にローリスク・ノーリターン。寝っぱなしと二択両対応の技で起き攻めされるとくらい損になる。